同性愛など存在しない!?
著者の主張によれば、「同性愛」というかhomosexualityという概念は19世紀につくられたものであり、それ以前は存在しなかった。たとえば、古代のギリシャ社会においては、「同性愛者」というものは存在せず、女性と少年と非市民の男女に対して能動的な性を享受する男性市民が存在したという事になる。これは鋭い指摘である性行動はさまざまな社会で、さまざまな現れ方をする実際、私たちが同性愛という言葉でひとくくりにしているものの中にも、多様な形態が含まれており、私たちが思っているほど有効で厳密な定義ではないのかもしれない。 その一方で、著者はこの主張が、ゲイとしてのアイデンティティー(つまり、性文化としてゲイであるだけではなく、生まれながらにゲイである事)を感じている現代の同性愛者には受け入れがたい事を認識してもいる。実は、この種の人々は古代にもいるのだが、筆者「個人の性の好みは存在した」ということで矛盾を解消しようとしている。 筆者の主張に賛否はあるだろうが、いずれにせよ刺激的であり、非常に興味深い考察も把々含まれている。
法政大学出版局
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